注意するべき水分補給

かつては運動時に水分を補給すると、発汗量が増加し疲労の原因となると考えられ、また渇きに耐えることも運動トレーニングの一つと位置づけられ、運動時の水分補給が禁じられていました。
年配の方にはそのような経験のある方もいるかと思います。
しかし過去20年の間に、運動時に水分を補給しないと、体温が上昇して運動の継続が困難になること、脱水状態では運動能力が低下すること、また水分代謝にはイオンの補給が深く関わっていることなどの生理学的な知見が蓄積されてきています。

脱水条件下で水分を補給した時にみられる発汗量の増加では、充分に水分を補給されていた時の体温まで低下することはできない。

まず水分補給の発汗量の増加に関しては、すでに脱水状態にある場合は水分補給時に発汗量が増加しますが、充分水分を補給されている場合には発汗量は増加しません。
また脱水条件下で水分を補給した時にみられる発汗量の増加では、充分に水分を補給されていた時の体温まで低下することはできないのです。
水分は普通飲水によって補給しますが、発汗による脱水時に自由に飲水をしても直ちに脱水量に相当する水分を摂取することができず、食事などと共に脱水を回復するといわれています。
この脱水回復の遅れを「自発的脱水」と呼びます。

自発的脱水のしくみとしては、発汗時に水のみを摂取すると血液が薄くなってしまいます。
すると身体は体液が薄くなることを防ごうとして、のどの渇きが無くなり、また過剰な水を尿として排泄します。
その結果、体液の量は十分に回復できなくなってしまうのです。
大量発汗時に水分のみを摂取すると、体液塩分濃度の低下による「熱痙攣」が起こることになります。
ですので体液の保持には食塩の補給が必要となり、水分を摂取する際はスポーツドリンクや食塩(0.1~0.2%)を溶かした水などを摂取しましょう。
ただ水の飲めばいいというわけではなく、正しい水分補給にプラスしっかりと栄養を摂ることを心がけることが重要になるのです。

運動時はことさら注意が必要。

運動を行うと、筋肉が収縮することによって運動に伴う代謝エネルギーの約80%が熱に変換されて、体温が上昇します。
上昇した体温は、皮膚血流を増加させたり、汗をかいて皮膚表面から蒸発させたりすることで熱を放散して体温を下げ調節します。
いうまでもなく、汗は水分なので発汗によって体内の水分は失われていきます。

運動中にたくさん汗をかけば、身体の中では脱水が起こってしまいます。
過度の脱水にならないように、発汗量に見合った水分を補うこと、これこそが水分補給の重要な目的となります。
もし脱水状態に陥ってしまうと、体内の水分が足りていない状態となるので発汗量も制限されてしまいます。
そうなると、皮膚表面の汗を蒸発させることで下げていた体温が下げられなくなり、体温調節機能に大きな負担がかかり、結果的に熱中症を引き起こす危険性があります。

運動中の水分補給の目的は、単に「熱中症予防」の為だけではなく、「パフォーマンスの維持」といった意味でも重要。

試合中の水分補給がパフォーマンスに及ぼす影響を、15分ごとに250mlずつ水分補給を行った群と水分補給しない群とで、5分ごとの30mスプリントを前後半8回ずつ行いタイムにどのような違いが見られるかという実験では、前者は後半もスプリントタイムがあまり落ちなかったのに対して、後者はハーフタイムには500mlくらい水分補給はするものの、後半になるとスプリントタイムが遅くなり、平均して約0.1秒、距離にすると1m弱の差がついたという報告があります。
このように、運動中の水分補給の目的は、単に「熱中症予防」の為だけではなく、「パフォーマンスの維持」といった意味でもとても重要だといえます。
なぜ水分補給をしなければならないのか、水分補給の重要性を理解して、運動時には積極的に水分を摂るように心掛けることが大切です。

 

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