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ゴルファーにおける動作改善のアプローチ

ゴルフスイングの動作改善を目指すうえで、大きく分けて「解剖学的アプローチ」と「機能的アプローチ」という二つの視点があります。どちらも重要な視点ですが、ゴルフのような動きの連鎖が極めて繊細で複雑なスポーツにおいては、機能的アプローチの重要性がより際立ってきます。

まず解剖学的アプローチというのは、ある動作の中で問題となっている部位を個別に評価し、その機能を回復させることで全体の動作も自動的に改善される、という考え方です。たとえば、トップの位置で右股関節の可動域が不十分であることに気づいた場合、その部位にフォーカスしてストレッチや筋力強化を行うような方法です。このやり方は非常に論理的で基礎運動学に則っており、原因を明確に切り分けるという意味では有効な手段です。

ただし、ゴルフスイングというのは単なる部位の連動ではなく、神経系、筋骨格系、さらには感覚的なフィードバックまで含んだ「統合された動作」です。そこで必要になるのが機能的アプローチの視点です。このアプローチではある筋の筋力低下が単なる筋力の問題ではなく、「筋の抑制」によって本来の出力ができていない状態かもしれない、というように、より広い視野で動作全体を見ていきます。

たとえば、バックスイングで上半身が突っ張ってしまい、回旋がうまくいかないというケースを考えてみましょう。この場合、単に胸椎の可動域を増やすストレッチをしても、本質的な問題が解決しないことがよくあります。それは回旋をサポートすべきスタビライザー、つまり体幹の安定筋群がうまく機能しておらず、主働筋が過剰に働かざるを得ない状態になっている可能性があるからです。このようなとき、アプローチは筋力強化ではなく、まずはスタビライザーの再活性化や、安定性を高めるエクササイズに切り替える必要があります。

また筋が硬くなっていると感じる場合も、それが単なる「柔軟性の問題」ではなく、実は防御反応としての緊張であったり、動作時の協調性の欠如からきている可能性もあります。そうなるといわゆるストレッチだけでは不十分で、脳と身体をつなげるような「動きの再教育」が求められることになります。

さらにスイングの中で起こる代償動作についても、単なる癖として捉えるのではなく、本人にとってその動作こそが「唯一の選択肢」として身体が選んだ結果であると考えることが大切です。つまり根本的な問題を取り除かずに表面的なフォームを修正しようとしても、必ずどこかに無理が生じ、結果的にケガやパフォーマンス低下に繋がるリスクが高まってしまいます。

このようにゴルフの機能的な動作改善には、単に「どこが悪いか」を見極めるのではなく、「なぜそのような動きになっているのか」を深掘りしながら、神経-筋-骨格といった身体全体のつながりに目を向けることが不可欠です。結果として安定したスイング、再現性の高い動作、そしてケガをしにくい身体作りへとつながっていきます。

ですのでゴルフの動作改善を考えるときには、まずは目の前の動きの背景にある「身体の戦略」を読み解き、そこに対して適切な再教育を行っていく。これこそが、真に機能的なアプローチと言えるのではないでしょうか。

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