現在の身体機能を評価し、その上でのストロングポイント、ウィークポイントを見つけ出す。

フィジオ福岡で行っているゴルフトレーニングは、まずは「現在の身体機能を最大限に使うことができているのか」、「適切な動作が行える状態であるのか」をみていくことから始まります。そこでまず行っていくのが、「コレクティブエクササイズ」という、本来生まれながらにして人がもつ「機能的な動き」や「パターン化された動き」が適切に行われるか、あるいはその動きの中にエラーのある動きはないかというスクーリングしながら、適切な動作獲得を目指すというエクササイズアプローチを行っていきます。この段階で行うものは先に挙げたように「トレーニング」ではなく、「エクササイズ」であり、機能を「強化」するものではなく、機能を「改善」していくものになります。
スポーツ科学の世界では最近のトレーニングに、呼吸や関節の可動性、力出力のタイミングや順番などが重要視され、動作が円滑に動いていくために必要な要素の確認を行い、問題があれば、修正するような運動プログラムを行っていきますまずはこの「機能の適正化」ができているのかを確認した後に、全身の「強化」に取り組んでいくことになります。
ゴルフにおける”コレクティブ”

トレーニングを考える場合、筋力や筋量、そしてパワーが高くなれば、より大きな力発揮が可能となると考えることが多いと思います。
しかしそのパワー発揮が、身体がスムーズに動く中で出現するのならばいいのですが、エラーや代償動作なく機能的に動く状態の中で、しかも安定感のあるかたちの中でなされなければ、パフォーマンス向上の一助となる効果が出ないばかりか、かえって障害を誘発するようなものになってしまう可能性も出てきてしまいます。
コレクティブとは『補足的なもので、マイナスなものを取り除くもの』という意味合いがあります。
つまり、動作のエラーや代償動作を取り除き、力発揮を行う際に適切な動作とメカニズムの中で動きを完遂できるように、まずカラダの基本的な動きを獲得しようという考えが前提になります。
「正しい動作パターンを身につけ適切な動作とメカニズムを学習する」ことで、筋力や筋量、パワーを養うためのストレングストレーニングを質の高いかたちでしっかりと実践できるようになり、結果としてパフォーマンスを引き上げ・障害のリスクを軽減という流れをつくることに繋がります。
このトレーニングは、モビリティがしっかりと出ること、またスタビリティがしっかりと獲得されることが重要となり、動くべきところがしっかりと動くように安定すべきところがしっかりと安定するように意識して動きを表出できるかが重要になります。
ゴルフにおける”ストレングス”

もちろんこれらは派手なトレーニングではないですし、かなり地味で面白みのないトレーニングになりますが、ゴルファーにとっても実は目標を達成するためには通らなければいけない要素であります。
このような基本的な動作の土台となる必要最低限の機能を獲得したのちは、もちろん必要に応じて動作に強度を高く設定していき、動作における、スピード・慣性・可動域・感覚受容器への刺激などにおいて段階的に変化を加えることによって最終的に目的としているパフォーマンスの向上につなげることを目的としてトレーニングを組み立てていくことになります。
ストレングストレーニングを通じて筋力や筋量を養い、その延長線上でパワーを向上させる必要がありますが、筋力や筋量、またパワーを向上させるには一般的には「トレーニングの原理原則」に従い、しっかりと強化していくことになります。
コレクティブエクササイズを行うことで、正しい動作パターンを身につけ、適切な動作とメカニズムを学習し、筋力や筋量、パワーを養うためのストレングストレーニングを質の高いかたちでしっかりと実践し、結果としてパフォーマンスを引き上げ、障害のリスクを軽減するという流れをつくることがトレーニングを行う上では非常に重要な流れになります。
ストレングストレーニングは、用いる負荷の大きさや動作に応じて、神経や筋に様々な適応が起こります。

ストレングストレーニングは、その基本動作の土台に上積みしてパワー発揮できるようにしていくことが目的となり、重要なのは適切なかたちで行えること、しっかりと量をこなしていく必要があることです。
トレーニングは、用いる負荷の大きさや動作に応じて、神経や筋に様々な適応が起こります。
トレーニングを開始した初期(1~1.5カ月)では、通常著しく筋力が増加しますが、この間には筋横断面積はあまり増大しません。この間には神経系に適応が起こり、中枢神経系およびコルジ腱反射などによる筋力発揮の抑制が低減することで主に筋横断面積当たりの筋力が増加します。
但し、トレーニングの経験者などの場合は、こうした神経系の適応を引き出すためには高強度(1RMの90%以上)のトレーニングが必要となります。
神経系の適応が上限近くに達すると、筋横断面積の増大(筋肥大)が起こるようになります。
筋肥大は、主としてタイプⅡ筋繊維の横断面積の増大によって起こります。筋肥大には、筋内でのたんぱく質合成の活性化が必要です。この過程には、筋繊維が強く活動することの他に内分泌系が活性化されることが重要です。
筋繊維が繰り返し活動すると、その活動に有利となるように特定のタンパク質の合成が活性化すると考えられています。
タンパク質合成が進むと結果として筋が肥大し、発揮できるパワーが大きくなっていきます。
ゴルフで飛距離というのは大きな武器になりますし、障害予防の観点からも筋力強化は必須です。
そのためには、「パワーをためて爆発的に筋を収縮する」トレーニングは必要不可欠になってくるということです。