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ゴルフスイングとコアの剛性

ゴルフというスポーツは、ただ腕でクラブを振るだけの単純な動作ではありません。実際には全身を使った連動的な運動であり、そこには高度な身体コントロールと安定性が求められます。その中でも特に重要視されているのが「コアの剛性」や「体幹の安定性」と呼ばれる要素です。これらはパフォーマンスの向上やケガの予防に直結するため、多くのプロゴルファーやアスリートが日常的にコアトレーニングに取り組んでいます。

まずゴルフのスイング動作をよく見てみると、スイングの始まりから終わりまで、体幹がしっかりと固定されていることがわかります。特にトップからインパクトにかけての瞬間は、下半身が地面を押して生まれた力を上半身へと伝え、それをクラブヘッドへと移していきます。このとき、体幹部分が不安定だと、そのエネルギーの伝達は途切れてしまい、せっかく生み出した力が無駄になってしまいます。つまり、コアの剛性とは、力を「逃さないための通り道」を確保するために必要な条件なんです。

この考え方には実際のバイオメカニクスの研究も裏付けを与えています。たとえば「近位の剛性は遠位の運動速度を高める」という理論があります。これは、体幹のような身体の中心部を安定させることで、手や脚などの末端部分の動きが速く、かつ正確になるというものです。ゴルフにおいては、腹部や脊柱まわりの筋肉がしっかりと働いていればいるほど、腕の振りはスムーズで鋭くなり、クラブヘッドスピードも向上します。

また、体幹を取り巻く筋肉、つまり腹横筋、多裂筋、横隔膜、骨盤底筋といったインナーユニットがしっかりと働くことで、腹腔内圧(IAP:Intra-Abdominal Pressure)が適切に高まり、脊柱の安定性が高まることが分かっています。これはジャンプの着地動作の研究などでも明らかにされており、衝撃を受ける場面や力を発揮する局面で、コアの安定性が重要であるというエビデンスになっています。

特にゴルフスイングでは、スイングスピードが速くなるほどその反作用として身体にかかる負荷も大きくなります。もしコアの安定性が不足していると、腰椎の過伸展や回旋ストレスが過剰にかかり、腰痛や股関節、肩関節の障害につながってしまいます。実際、腰痛を訴えるゴルファーの多くは、腹部や背部の筋肉が適切に機能していなかったり、左右の筋力バランスが崩れていたりすることが報告されています。

このような背景から、多くのトップ選手が、ゴルフスイングの練習に加えて「スタビライゼーションエクササイズ」と呼ばれるトレーニングに取り組んでいます。これは、単に腹筋を鍛えるのではなく、動きの中で体幹を安定させるための神経筋制御のトレーニングです。プランクやデッドバグ、バードドッグのようなエクササイズが代表的で、重力や外力に対して体幹がブレないように調整する能力を養います。

また、コアを強化することは衝撃から身体を守る防御機能としても重要です。ゴルフのスイングでは、意図せぬ衝突やスイングの反動など、予期しない外力が発生することもあります。こうした場面でも、コアの剛性が高いと、内臓や脊柱、関節を守る「クッション」としての役割を果たすことができます。

さらに進化論的な視点から言えば、脊椎動物である私たち人間の構造そのものが柔軟性と安定性のバランスを求めた結果として、現在のような「張り網構造」になっていると考えられています。つまり、脊柱という“マスト”を体の中心に立てて、それを筋肉という“ロープ”で支えるような形ですね。この構造があるからこそ、私たちは複雑で多様な動作が可能となり、スポーツにおいても細やかな調整ができるのです。

でも現代人の生活ではこうした体幹の調整能力が低下している傾向があります。デスクワークやスマホの使用が増え、同じ姿勢を長時間続けることが多くなると、コアの筋群はうまく働かなくなり、その結果として動きの不安定さや痛みにつながってしまうのです。

だからこそ、ゴルファーにとってはスイング練習だけでなく、コアの剛性を高めるトレーニングが必要不可欠になります。これはパフォーマンスの向上だけでなく、長くゴルフを続けるための身体づくりとしても重要な意味を持っています。地味に思える体幹トレーニングこそが、実はゴルフというダイナミックなスポーツの土台を支えているのです。

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