スポーツ、ダンス、リハビリテーション分野の研究において、基本動作概念(Basic Action Concepts:BACs)は、心の中で動作を思い描くための基本的な構造要素であることが明らかにされています。

BACsは、特定の動作目標を達成するために必要な身体の姿勢や動きが「まとまり」として脳内で記憶されているものです。

これにより、複雑な動きを効率的にイメージし、実際のパフォーマンスを向上させる基盤が形成されます。

基本動作概念(BACs)とは?

BACsは、日常動作やスポーツ動作のような複雑な行動を構成する基礎単位です。それぞれの動作単位は、特定の目標達成に必要な身体の姿勢や動きを意味します。たとえば、ゴルフスイングでクラブを振り下ろす動作や、バレーボールのスパイク動作などが、BACsとして脳内で表現されます。

これらのBACsは、個々の動作を「まとまり」として記憶し、それを組み合わせることで複雑な動作をスムーズに実行するための基盤を提供します。この概念に基づくと、動作目標に応じた心的イメージをより的確に構築することが可能となり、結果的にパフォーマンスが向上します。

SDA-Mとは?

SDA-M(心的表象の構造次元分析法)は、動作を心の中でどのように表現しているかを測定・分析する実験的な手法です。この方法を使うことで、心的動作表象の構造が明らかになり、それがパフォーマンスにどのように影響を与えているかを調査できます。

SDA-Mの具体的な手法としては、トレーニング前に被験者がイメージする動作の内容を客観的に測定し、BACsの構造を分析します。これにより、以下のことが可能になります。

  1. 個別の心的表象を可視化:どのような動作単位が、どのように記憶されているかを把握。
  2. 改善ポイントを特定:心的表象が不完全な部分を明らかにし、トレーニング計画に反映。
  3. トレーニング効果を検証:心的表象の変化を測定し、トレーニングの有効性を評価。

心的表象に基づくイメージトレーニング(MTMR)

SDA-Mを活用したトレーニング手法として、心的表象に基づくイメージトレーニング(Mental Training based on Mental Representations:MTMR)があります。このトレーニングは、被験者が心の中で動作を正確にイメージし、そのイメージに基づいて実際の動作を改善するというアプローチです。

MTMRは、以下の点で従来のトレーニングと異なります。

  • 個別最適化:被験者の心的表象に基づいてトレーニングをカスタマイズ。
  • 効率的な学習:目標動作に直結した心的イメージを強化することで、動作学習の効率を向上。
  • 科学的根拠:SDA-Mの結果を基にした客観的なアプローチ。

この方法は、プロスポーツ選手(ゴルフ、バレーボール、体操、ウィンドサーフィンなど)から、脳卒中患者のリハビリテーションに至るまで、幅広い分野で成功を収めています。

SDA-MとBACsの研究は、スポーツやリハビリ分野における画期的な成果をもたらしています。心的動作表象を客観的に測定し、それに基づくトレーニングを行うことで、従来の方法では得られなかったパフォーマンス向上やリハビリ効果が実現しています。

もし、スポーツやリハビリでさらなるパフォーマンス向上を目指している方は、心的表象に基づくトレーニングを取り入れてみてはいかがでしょうか?

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