P10システムでいうP7は、単に「ボールに当たった瞬間」ではありません。P6(シャフトが地面と平行に降りてくる局面)からP7にかけて、身体が“回る”という現象を、地面反力(GRF)と床反力モーメント(GRM)を使って“起こしている”局面です。だからこそ、インパクト時の左荷重優位は体重移動の結果ではなく、運動連鎖を成立させるための条件になります。
まず、P6→P7で起きる最大の切り替えは、左股関節が「受ける(屈曲・内転寄りで耐える)」から「押し返す(伸展・外旋トルクで支柱化する)」へ転じる点です。ここで左脚に圧(プレッシャー)が集まると、鉛直方向のGRFが立ち上がり、同時に前後・左右成分を含む合力ベクトルが発生します。重要なのは“力の大きさ”より“向きとタイミング”で、P7直前に鉛直成分が高まり、骨盤の回旋を促すモーメントが地面側から供給されると、骨盤→胸郭→肩甲帯→腕→クラブへと角運動量の受け渡しが途切れにくくなります。いわゆる近位→遠位の増幅が、努力感を増やさずに起きる条件がここにあります。

このとき左股関節は、あなたが書かれている通り「post leg(支柱脚)」として働きます。外旋筋群(深層外旋六筋)は、骨頭を臼蓋内に“収める”役目を担い、回旋の軸を散らしません。その上で大殿筋が伸展トルクを、中殿筋が骨盤の側方安定(特にトレンデレンブルグ的な崩れや、過度な骨盤の横スライド)を制御します。ここが甘いと、左に乗ったつもりでも実際は「左へ流れている」だけになり、回旋中心が逃げます。するとクラブは最下点が手前に寄り、ダフリやフェースの下向き入射が増え、打点の再現性が崩れます。つまりP7の左荷重は“乗る”ではなく、“支えることで回せる状態を作る”が正確です。
では、なぜ70〜90%なのか。ここは誤解が多いのですが、数値は「左に体重をかけろ」という指令値ではなく、P7近傍で運動連鎖が成立しているときに観測されやすい“力学的帰結”です。左が70%未満だと、右足への荷重残存が起こりやすく、重心と圧中心(COP)が右に残ります。COPが右に残ると、身体は回っているように見えても、下半身が回旋の支点を作れず、骨盤回旋が“横移動を伴う回転”へ変質します。その結果、ヘッドは低いところを長く走れず、最下点がボール手前に来てダフリ、逆に手元が浮けばトップや薄い当たりになります。P7のミスが「入射角」や「当て感」の問題に見えて、実はCOP配置の問題として説明できるのはこのためです。
P10の評価としてP7を見るとき、私は「左荷重の量」よりも「左股関節が“伸展しながら回旋を許す”形になっているか」を優先します。左膝が伸びること自体が良いのではなく、左股関節が伸展トルクを作れた結果として、膝は“伸びて見える”だけのことが多いからです。良いP7では、左股関節が伸展しつつ外旋方向の安定を保ち、骨盤は目標方向へ開きながらも、骨盤の中心が必要以上にターゲット側へ流れません。いわゆるlateral slideが増えると、回旋の半径が狂い、クラブの最下点とフェースの管理が難しくなります。逆に「回旋はしているが軸は残る」状態では、ロフト・ライ・入射が一定化し、ハンドファーストとフェース安定が両立しやすくなります。

もう一段深く言えば、P6→P7の左荷重は“ブレーキ”でもあります。左脚が支柱化すると、骨盤の並進成分が減速し、その減速が上体・腕へ相互作用として伝わり、クラブのリリースが「勝手に起きる」条件が整います。ここでリリースを手先で作ろうとすると、せっかくの減速由来の増幅(いわばムチの根元の止め)が消え、フェース管理が不安定になります。P7を直すつもりで手首やロールだけを触ると当たりが散る、という現場の感覚は、この力学と一致します。P7は末端操作で作るものではなく、地面—骨盤—胸郭—腕の連鎖が作った“必然の形”として現れるべきだからです。
したがって、P7の左荷重比率を評価するときは、「左に乗れているか」ではなく、「左で“回れる地面”を作れているか」を問い直すのが本質になります。左股関節の支柱化が成立し、GRFの立ち上がりと骨盤回旋のタイミングが揃うと、P7は結果として静かになります。ボールは強く、そして同じ場所から出る。P10システムのP7とは、インパクトの写真映えではなく、地面反力を使った運動連鎖が破綻せずに通過した“証拠”として読むべき局面なのです。