P10システムでいうP7は、クラブがインパクトを迎える直前からインパクト直後にかけての「結果が確定する局面」です。ここで語るべき本質は、P7が単なる“当たった瞬間”ではなく、P6までに形成した運動連鎖と姿勢制御が、最終的に「打点の3次元座標」として出力されるフェーズだという点です。あなたが提示した上下(前傾角度の維持)と左右(骨盤と重心の位置関係)の整理はまさにP7の評価軸として妥当で、しかも再現性を左右するのは「大きな可動」より「微小な制御」です。P7の上手さは、派手な動きではなく、変えてはいけない変数を守り切る能力として観察されます。
まず上下方向、つまり打点の高さは、言い換えれば「クラブの最下点がどの高さ・どのタイミングで生まれるか」に集約されます。P7で前傾角度が崩れる典型はearly extensionで、骨盤が前方へ逃げ、胸郭が起き上がり、結果として手元が浮き、クラブのスイングプレーンが上方へ押し上げられます。このときトップが出るのは偶然ではなく、力学的には“半径の変化”と“最下点の上方移動”が同時に起こるからです。前傾維持を担う筋群として挙げられた脊柱起立筋・多裂筋・腰方形筋の等尺性収縮は、単に体幹を固めるためではありません。P7では骨盤が回旋しながら伸展方向のモーメントを受け、胸郭は回旋と側屈を伴い、下肢は床反力のベクトルを更新し続けます。つまり体幹は「動かない」のではなく、「動きながら角度を変えない」。この矛盾した要求に応える制御が等尺性に見えるだけで、実際は微小な同時収縮と反射的な補正の連続です。疲労や制御不全が出ると、体幹伸展で“楽をする”戦略に切り替わり、結果として前傾が失われます。P7の前傾維持は筋力というより、タイミングと協調の問題として捉えるほうが臨床的にも指導的にも解像度が上がります。

さらにP7の前傾は「股関節屈曲角度を保つ」という表現が核心ですが、現場では股関節だけを見ていると見誤ります。early extensionは多くの場合、股関節伸展の単独現象ではなく、骨盤の前方並進・前傾の過剰化、胸郭の伸展、下肢外旋トルクの抜け、これらがカップリングして起こります。P7で骨盤が回りながらも“後方に残る”感覚を持つ選手は、股関節の後方回旋中心を保ち、骨盤がボール方向へ突っ込まないため、前傾が残ります。逆に、回転を作ろうとして骨盤を前に押す選手は、回転を得た代償として空間を失い、手元を上げざるを得なくなる。トップはミスというより、破綻した幾何学を帳尻合わせする動作に見えるはずです。P7の評価では「胸が起きたか」より先に、「骨盤がボールに近づいたか」「左尻が後ろへ抜けたか」「右尻が前へ出たか」といった骨盤周りの空間管理を見たほうが、上下の打点ズレと直接つながります。
次に左右方向です。打点の左右は、クラブの最下点がボールに対してどこに配置されたか、そしてクラブパスがどこを通ったかの掛け算で決まります。あなたの文章にある「骨盤の側方移動と回旋の組み合わせ」は、P7を理解するうえで非常に重要です。P7では回旋だけでもダメで、側方移動だけでもダメで、両者の比率が“入射角”と“最下点位置”を同時に規定します。過度な右荷重残存で骨盤が右に残ると、回転中心が右へ偏り、クラブは最下点を手前に作りやすくなります。これは「ダフりやすい」という単純な話ではなく、P7で左脚に床反力を集められないために、骨盤回旋の角速度が落ち、結果として手元の減速を避けるためにリリースが早まり、ロフトと打点の両方が不安定化します。トップが出る場合も、最下点が手前に来るはずなのにトップになるのは矛盾に見えますが、実際は胸郭の起き上がり(上下ズレ)が同時発生し、最下点が“手前かつ上”に移動するため、地面には届かずボールの上を擦る、という形で成立します。P7は一つのミスが単独で出るのではなく、上下と左右のズレが相互に補強し合って最終結果として現れる局面です。

一方で、左への過度なスライドは別の破綻を生みます。骨盤が左へ流れすぎると、回旋の自由度を失い、上体が後方へ倒れるか、クラブを過度にシャローに入れて“当てに行く”補償が起こります。その結果、入射角が浅くなり、ボールの先に最下点がズレやすい。ここでトップが起こるのは、クラブが地面に向かうベクトル(下降成分)を確保できないまま、ハンドパスだけが左へ逃げ、ロフトも増える、という複合的なズレのためです。P7の良いスライドは「左へ行く」ではなく「左に乗り替えた上で回れる」ことで、より正確には、重心は左へ移しながら骨盤は左へ“流れ続けない”。左脚が支点となり、骨盤がその上で回転し、胸郭は回旋しつつも前傾を保持する。この“重心は移るが骨盤は漂わない”という状態が、左右の打点を安定させます。
ここまでをP10のP7評価としてまとめるなら、P7は「空間(姿勢)×力(床反力)×時間(リリース)」の同時最適化です。上下の打点は前傾維持という空間制御で、左右の打点は骨盤‐重心の位置関係という空間と力の結合で決まります。ここに時間軸としてのリリースが乗る。P7で前傾が維持され、骨盤が左に“乗って回れて”いる選手は、手首角度の変化を最小化しながらボールへ運動量を伝えられます。逆に、前傾が崩れ、骨盤が右に残るか左へ流れすぎる選手は、当てる瞬間に幾何学が崩れるため、手先で帳尻を合わせざるを得ず、打点が散ります。P7の上手さは、インパクトで「頑張って当てる」能力ではなく、当てる必要がない状態をP6から持ち込める能力です。そしてその中核が、あなたの言う前傾維持(上下)と骨盤‐重心の整合(左右)なのだと思います。P7を評価するとき、ボールの飛びだけを見ると原因が消えます。前傾の角度、骨盤の並進量、回旋の連続性、そしてそれらが生む最下点の三次元位置を“同じフレーム”で観察することが、P10的な診断として最も筋が良いはずです。