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P4の「右股関節で受け止める」─荷重・内旋抵抗・GRFが回旋分離を生む瞬間

P10システムのP4は、見た目には「トップの形」を語っているようで、実際には“右股関節で地面反力をどう受け止め、どの方向へ返す準備をするか”を決める局面です。右打ちでいえば、ここで右股関節が荷重の受け皿になれないと、骨盤は回ってはいけない方向へ回り、体幹は捻じれを失い、切り返しは「ほどく」ではなく「崩れる」に変わります。P4の質は、クラブの位置よりも、右股関節の中で何が起きているかで決まる、というのが本質です。

トップで体重の60〜70%が右側に乗る、という説明はよく見かけますが、重要なのはその“乗り方”です。右股関節は単なる支柱ではなく、骨盤と大腿骨を安定させたまま上物(胸郭・体幹)を動かすための「動的スタビライザー」として働きます。大殿筋や中殿筋が外側から骨盤を支え、梨状筋を含む深層外旋筋群が股関節の中心を保ちながら大腿骨頭を「奥へ収める」ように張力を作る。このときに起きているのは、硬く固める固定ではなく、必要な可動性を残したまま関節面を安定させる制御です。つまりP4の右股関節は、可動域を誇示する場所ではなく、外旋筋群と外転筋群が“滑らせずに受け止める”場所になります。

ここで次に効いてくるのが、股関節の内旋抵抗です。骨盤が過度に回旋すると、右股関節には強制的な内旋が入りやすくなります。問題は、内旋そのものが悪いのではなく、内旋が「骨盤の逃げ」とセットになった瞬間に、回旋分離の土台が消えることです。P4で欲しいのは、右股関節の外旋筋群が等尺性に働くことで、大腿骨に対して骨盤が“必要以上に回らない”状態を作り、胸郭側の回旋を相対的に大きくすることです。これがXファクターを「作る」というより、Xファクターが“生まれる環境”を整える感覚に近い。右股関節が受け止めに成功すると、骨盤は落ち着き、体幹は回れる。逆に右股関節の受け止めが薄いと、骨盤が先に回ってしまい、体幹は回った気がしても分離が増えず、切り返しで加速させる材料が残りません。

もう一段深掘りすると、P4の右股関節は「回旋のブレーキ」であると同時に、「地面反力ベクトルの配向装置」でもあります。理想的なトップでは、右足から得られる地面反力(GRF)のベクトルが、右股関節の近くを通過し、体幹の中心軸へ向かうように整います。言い換えると、右足で踏んだ力が、膝や股関節で折れずに“胴体へ渡るライン”を作れている状態です。このラインが整うと、切り返しは「上から打ちにいく」動作ではなく、下(地面)から上(体幹)へ運動量が流れ込む現象として起こります。反対に、GRFが外側へ逸れやすいトップでは、右足で踏んでも力が横方向へ逃げ、骨盤がスウェイしたり、右膝が外に割れたりして、せっかくの荷重がヘッドスピードに変換されにくくなります。P4でよくある「右に乗りすぎ」「右のお尻が引ける」という表現は、実はこのベクトルが外へ流れた結果として起きていることが多いのです。

では、P4で“正しい受け止め”は見た目にどう表れるのか。ポイントは、右股関節が詰まって見えないこと、右膝が外へ割れないこと、右足裏の圧が母趾球と踵の間で安定していること、そして骨盤の向きが「回そうとして回った」よりも「回っても崩れない」程度に収まっていることです。ここが整うと、上半身は回しているのに、下半身は落ち着いているという独特の緊張感が出ます。体幹が回れるのは、柔らかいからではなく、右股関節が“中心を守っている”から、という順序です。

この局面を科学的に捉えるなら、P4は「近位の安定化によって遠位の運動自由度を増やす」典型例だと言えます。股関節周囲筋の等尺性収縮は、関節中心のブレを抑え、骨盤の過剰回旋や横流れを防ぎます。その結果、胸郭回旋や上肢の位置エネルギーを、切り返しで効率よく回転エネルギーへ変換できる。ここで誤解したくないのは、右股関節を固めれば良いのではなく、関節面の安定と力の通り道が確保された“しなやかな強さ”が必要だという点です。硬く固定してしまうと、今度は骨盤の自然なプレッシャーシフトや回旋タイミングが失われ、かえって切り返しが詰まります。

結局、P4の核心は「右に乗る」ではありません。「右股関節で受け止め、内旋に抗し、地面反力を胴体へ通す」。この三つが同時に成立したとき、P4はただのトップではなく、切り返しの加速装置になります。クラブの位置をいじる前に、右股関節の中で“支えているのか、逃げているのか”を疑う。P10のP4を本当に機能させる一番の近道は、そこにあります。

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